年を重ねると睡眠時間が短くなる

子供は成長するにつれて睡眠の時間も変化するんこですが、成人した後も睡眠の変化は続いています。そこで、老化に伴って起きる睡眠の変化について考えてみます。

年をとると睡眠時間が短くなるでしょうか、それとも長くなるでしょうか。たとえば、二世帯住宅で同居をしている人たちは、「そういえば、うちのお爺ちゃんは最近寝ていることが多い」と思う人もいるでしょう。反対に、年をとれば若い時ほどたくさん眠らなくても良いのだろう、と思う人もいるでしょう。

NHKでは「国民生活時間調査」を1960年から5年ごとに行っています。この調査では、年代ごとの睡眠時間についても調査しており、これを見ると、もっとも睡眠時間の短いのは40代の女性で、年齢が上昇するにっれて睡眠時間は伸びていきます。NHKの調査は、24時間の行為を調べており、この結果には昼寝も含まれているようです。40代~50代の睡眠時間が短いのは、仕事が忙しいなどの社会的な要因が多く含まれているようにも思われます。

60代で長くなるのは、定年を迎える人が多くなるからかもしれません。また、70代以降では、より自由な時間が多くなるため、十分に睡眠時間がとれているように思えます。

もう1つ別のデータを見てみると、過去に論文として発表されたさまざまな夜間睡眠記録のデータをすべて取りまとめて、各年代ごとの睡眠の質を抽出した米国・スタンフォード大学のオハヨンらの論文があります。

これを見ると、ベッドに入っている時間は、やはり45歳前後がもっとも短く、高齢になるとまた長くなっています。しかし、この中の眠るまでの時間(入眠潜時)と中途覚醒の時間を除いた実質的な睡眠時間は、高齢になるに従って次第に短くなっています。

この大きな要因は、睡眠中の中途覚醒時間が長くなってくるからです。加齢による睡眠の変化として、年をとるとベッドにいる時間は長くなりますが、実際に眠っている時間は短くなると、現在は考えられています。

しかし、この点はまだ十分に明らかにはなっていないのではないかと思っています。このデータは、夜間実験室での睡眠のポリグラフ記録を取りまとめたものですが、高齢者は昼寝もよくします。NHKの調査は24時間の行為時間を見ているので、こちらには昼寝も含まれているものと考えられます。

つまり24時間を通じてみると、高齢者はやはり長く眠っている可能性もあるのです。また、高齢者になってくると若年者に比べて健康度のバラツキがより大きくなり、たとえば「70歳以上の健康な人」を調べた場合、一部の非常に健康な「スーパー老人」を調べることになる可能性もあります。こういったことを含めて、今後、より詳細な研究が必要になってくるでしょう。